高市早苗首相(自民党総裁)は4日の衆院本会議で所信表明に対する代表質問に臨んだ。新内閣発足後、初めての国会論戦が始まった。首相は、自民党と日本維新の会による連立政権合意に盛り込まれた衆院定数削減について「自民党としても全力で取り組む」と意欲を示し、「具体的な削減案の策定や実現に向けては、できるだけ幅広い賛同を得ることが重要だ。今後、与党内での検討とともに、各党・各会派とも真摯(しんし)な議論を重ねていきたい」と述べた。
【比例代表を50議席削減した場合の各党議席の試算】
一方、国民民主党や公明党などが訴える企業・団体献金の規制強化を巡っては「企業・団体の政治活動の自由に関わるものなので、必要性や相当性についてよく議論する必要がある」と慎重な姿勢を示した。
2027年度に防衛費を国内総生産(GDP)比2%に増額する目標を25年度中に前倒しする政府方針に関しては、追加で必要な経費として、自衛隊の人的基盤の強化やドローン対処機材の整備などを挙げた。そのうえで「これらが一定の額に達すると見込まれるため、対GDP比2%水準についても結果として達成する」と述べた。GDP比2%水準の金額は約11兆円で、既に25年度当初予算で、9・9兆円を計上していると説明した。
防衛装備品を巡り、移転可能な分野を救難や輸送などに限定している「5類型」の撤廃に関しては「防衛装備移転をさらに推進する決意が示されたものだ。防衛装備移転三原則の運用指針の見直しを早期に実現すべく検討を進める」と意欲を示した。
ガソリン税に上乗せされている暫定税率(1リットル当たり25・1円)を巡っては、自民、立憲民主など与野党6党の税制実務者が12月31日の廃止で合意したことに触れ、「政党間の議論の結果をしっかりと踏まえて対応する」と述べた。
選択的夫婦別姓を巡っては、自身が総務相時代に、旧姓使用や併記で対応できる手続きを増やした取り組みを踏まえ、「全ての省庁、地方公共団体、事業者などで同様の取り組みを行えば、婚姻による『氏』の変更により社会生活で不便や不利益を感じる方を減らせる」と強調。旧姓の通称使用の法制化について「連立合意の内容を踏まえ、与党と緊密に連携しつつ、必要な検討を進める」と述べ、選択的夫婦別姓の導入には否定的な考えを示した。

高市早苗首相、覚悟の所信表明。――現実と理想を両立させる“責任ある政治”の姿
11月4日、衆議院本会議で行われた高市早苗首相の所信表明答弁は、日本政治の転換点を告げるような重みがあった。
単なる「言葉」ではなく、「実行への意志」と「現実への目線」が同居するスピーチだったからだ。
🔹1. 衆院定数削減――政治改革に本気で踏み込む決意
まず注目すべきは、自民党と日本維新の会による連立合意に盛り込まれた「衆院定数削減」に対する明確な姿勢だ。
「自民党としても全力で取り組む」と明言し、さらに「幅広い賛同を得ながら進める」と述べた一節は、党利党略を超えた“政治の信頼回復”への決意と受け取れる。
これまで「聖域」とされてきた国会議員定数の問題に、政権トップ自らが正面から向き合う――この姿勢こそ、国民の政治不信を和らげる第一歩である。
🔹2. 防衛と安全保障――口先ではなく、現実に備える
防衛費をGDP比2%へ前倒しする方針も、単なる「強気発言」ではない。
高市首相は、ドローン対処機材の整備や自衛隊の人的基盤強化など、極めて具体的な分野を挙げて説明した。
防衛とは“数字の議論”ではなく、“中身の議論”である。
11兆円という巨額を扱う以上、その内訳を国民に明示し、実効性ある防衛力整備を行うこと――まさに責任あるリーダーの姿勢だ。
また、防衛装備移転に関する「5類型」撤廃を進める方針を明確にした点も大きい。
日本の防衛産業を“閉じたままの鎖国体制”から脱し、国際的な安全保障協力の中で位置づけ直す。
これこそが、成熟した同盟国としての責任だ。
🔹3. 経済政策と税制――対立ではなく「合意形成」で前進
ガソリン税の暫定税率について、与野党6党が廃止で合意したことを踏まえ、「政党間の議論の結果をしっかりと踏まえて対応する」と語った。
一見、当たり前のように聞こえるが、ここに高市首相の政治スタイルが現れている。
対立ではなく、「議論の結果を尊重する」政治。
これまでの強引な政権運営とは一線を画す、誠実で合意志向のリーダーシップだ。
🔹4. 社会政策への現実的アプローチ――“過激な改革”よりも“現場の改善”
選択的夫婦別姓についても、イデオロギー的な対立を避け、現実的な改善策を提示した。
旧姓使用の手続きを省庁・自治体・企業に広げることで、不便を減らす方向性を明確にした。
高市首相は“急進的な制度変更”ではなく、“現場の不都合を確実に減らす政策実行”を選んだ。
これは、「社会を動かすのは議論ではなく実務である」という政治家としての矜持だろう。
🔹5. 「理想を語る首相」から「現実を動かす首相」へ
今回の所信表明で印象的だったのは、どのテーマにも「現実への責任」が通底していたことだ。
防衛・政治改革・税制・社会政策――どれも派手なスローガンではなく、現場の実情を見据えた政策構想が語られた。
高市政権が目指すのは、「夢を語る政治」ではなく、「結果で信頼を取り戻す政治」だ。
その姿勢こそが、いまの日本に最も必要とされている。
✍️まとめ:誠実なリーダーシップへの期待
「言葉よりも実行を」
「対立よりも合意を」
「理想よりも現実を」
高市早苗首相の所信表明は、この3つの言葉で要約できる。
日本政治が再び「信頼される政治」へと向かうための出発点として、今回の国会論戦は大きな意味を持つだろう。

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